Transition ―学校から社会生活への移行―

障害のある人を一人の大人として迎え入れることのできる社会をめざすうえで、子どもから大人への「移行」の時期はとても大切です。ここでは、英国のMENCAPという団体が障害者の家族向けに発信している「transition(移行)」に関する情報を紹介します。MENCAPは、知的障害のある人とパートナーシップを組んで法制度を変え、偏見とたたかい、彼らが人生を選び取っていくのをサポートしている非営利活動団体です。
なお、MENCAPの情報を日本で生かすために、日本の状況についての説明を加えています。この説明は、相談支援に従事する現場の専門職の協力を得て森口が作成しました。(作成:2014年1月)
ご意見やご感想、また「現状と違う」といったご指摘などがあればお寄せください。hmoriguc★mail.doshisha.ac.jp

移行

 学校を卒業し、大人になる――。この時期は変化に富み、将来への選択肢が広がる時期です。そのため若者やその親にとって、心を弾ませ、また同時に葛藤を迫られることになる時期でもあります。
 あなたの息子や娘に知的障害がある場合、この移行のプロセスはさらに複雑なものとなる可能性があります。様々な機関から、医療や福祉、教育支援などのサービスといった支援を受けることになりますが、これらはあなたの子どもが大人になるに従って変化するのです。しかも、この変化はそれぞれ異なる時期に起こることがあり、いつも同時期に済ませられるわけではありません。
 あなたの息子や娘が快適な移行を経験し、きちんとした支援を受けられるよう、親であるあなたは正しい情報を入手し、このプロセスに対応できるように準備する必要があります。
 ここでは親や介護者に移行のプロセスについてより深く知ってもらうためのアドバイスや情報をご紹介します。

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移行とは?

 「移行」という用語は、子どもから大人へと向かうプロセスのことを指します。通常この用語は専門家が、子どもが大人になるに従ってサービスが変化することを指すときに使用する用語なのですが、親であるあなたにとってはこのサービスの変化以上に重みのある用語でしょう。というのも、この移行の期間は、あなた自身の息子や娘が成長し、大人になっていく期間だからです。
 移行の期間には、あなたの受ける支援 の面において実質的な変化が起こります。そして制度面だけではなく、あなたの息子や娘が自立の道を歩む旅に出るのですから、感情面でも変化が起こります。あなたの息子や娘は、学校を卒業し、場合によっては大学に行ったり訓練を受けたりするようになりますが、それだけではなく、新しい友人を作り、新たな人間関係を築いていきます。ひょっとするとどこに住もうかと考えているかもしれません。
 こうした決断や変化は、心弾むものでもあると同時に、葛藤を迫られるものでもあるのです。

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移行の計画と評価

 特別な教育的ニーズのある息子や娘がいるなら、年次レビュー(日本でいえば「個別教育支援計画」)についてはご存じでしょう。あなたの息子や娘が9年生(13~14歳)の場合、この年次レビューは「移行計画書」と呼ばれます。この計画書は、正式な移行 プロセスの開始を意味するものです。
 この年次レビューの会議では、前年を振り返って判定書が未だ有効であるかどうかを判断するほか、学校はあなたやあなたの息子や娘が移行 計画を立てられるよう導いてくれます。この書類は、あなたやあなたの息子や娘が、将来どうなりたいかを定めるもので、それを達成するためにどのような支援が受けられるかを示すものです。

   ここで述べられている「年次レビュー」は、日本の「個別教育支援計画」にあたると考えてよいでしょう。また、移行に関しては日本においても「個別移行支援計画」が作成されます。移行支援計画が作成されるのは、高校(高等部)に入学以降のことが多いようです。

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移行計画会議に出席すべき人とは

 あなたとあなたの息子や娘は、学校の主要な関係者と一緒に移行計画会議に出席しなければなりません。この会議にはその他の専門家も関わることになります。
 通常9年生レビュー(移行計画会議)に出席するのは子どもの社会的ケアのチームなのですが、子どもと大人の社会的ケアのチームの体制は、地域によって異なっています。地域によっては、知的障害の若者やその家族が、大人になったときの計画を立てられるよう支援することを目的とするような、特定の移行を支援するワーカー(transition workers)が存在します。
 他の専門家にも出席してもらいたい場合には、学校に申し出ることができます。例として挙げると、放課後のクラブ活動やレスパイトサービスのスタッフは、あなたの息子や娘について特によく知っている可能性があります。そのようなスタッフも計画を立てる際に力になり得るでしょうし、とりわけあなたの息子や娘が重度で複数の障害(PMLD)を抱えていて、将来についての希望をうまく伝えることが難しい場合にはなおさらです。

   「個別移行支援計画」は、障害のある本人の意向を最大限に反映させることが望ましく、そのためには計画の作成への本人や家族、また利用している福祉サービスの担当者の参加が望まれますが、日本においてはその体制がまだ十分ではないところも少なくないようです。
また、日本においては、障害者総合支援法の福祉サービス(短期入所、居宅介護など)を利用する際には「サービス等利用計画」(児童福祉法の障害児通所支援(放課後等デイサービスなど)を利用する際には障害児支援利用計画)をたてることになり、「個別教育支援計画」や「個別移行支援計画」とのすり合わせが必要になります。
この調整をサポートするのが、相談支援専門員(相談支援事業所)や特別支援教育コーディネーター(学校)といった専門職です。
また、18歳以上は、障害福祉サービスの利用に先立ち、「障害支援区分」の認定が必要になります。

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移行計画書の対象範囲

 移行計画書は、あなたの息子や娘が単にどの大学に行きたいか、どのようなサービスを利用したいかということだけを示すものであってはなりません。この計画書は、あなたの息子や娘の将来への希望を明確に定めるものでなければならず、また彼らの生活のあらゆる面をカバーするものでなければならないのです。この計画書には、健康、住居、社会的ケアのニーズ についても明確に記載する必要があり、そしてこうしたニーズ に対処するため、各サービスが具体的にいつ何を行うかを定めなければなりません。
 この計画書を作成するにあたって重要なことは、若者が何を重要視しているかに基づいて作成することです。既存の利用可能なサービスだけを取り上げるようでは、十分とは言えません。また、移行計画書は、あなたの息子や娘が大人として必要とするお金や手当、サービスや支援 を受ける手立てについても、明確に示すことが非常に重要になってきます。

   日本の「個別移行支援計画」のなかには、卒業後の進路先(就職先や福祉サービス事業所など)が決まることが最優先で、進路先が決まってはじめて生活全般のことについて検討するような手順が示されているフォーマットもあるようですが、本来この計画をたてることをとおして、進学という選択肢について検討したり、どこで誰と暮らすか、余暇をどのように過ごしたいのか、についても検討する機会となるはずのものです。

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本人中心の 移行計画書

 本人中心の移行計画書(Person-centred Transition Reviews)とは、その若者に重点を置いた移行計画会議を成功させるためのものです。移行計画書を本人中心のもの(Person-centred)にするという手法は多くの地域で利用されているのですが、全ての地域というわけではありません。ですから、あなたの子どもの学校がこの方法で計画書を作成しているかどうか、学校に問い合わせる必要があります。
 本人中心のアプローチをとることで、若者にとって将来どうありたいかを表現する契機になりますし、移行計画 会議の前、最中、そして会議が終わってからも積極的に参加するきっかけになります。このアプローチでは、若者(本人)の意見をよく聞くこと、そして家族や友人、支援者や専門家との共同作業の中で、彼/彼女の人生や将来について、自身がどうしたいと思っているのかに耳を傾けます。
 また、本人中心の移行計画会議 は、若者自身が参加して貢献できるような、楽しくかつクリエイティブな方法で行われる必要があります。コミュニケーションをとるのが難しかったり、重度で複数の学習障害(PMLD)を抱える若者の移行計画会議の場合には、たとえば、彼/彼女にとって重要なことは何かが皆に分かるようにマルチメディアを使用するなど、様々な方法が考えられます。

   本人中心の(パーソン・センタード)アプローチ、つまりサービスを利用する本人の意向や選択をあらゆる方法で引き出し尊重しながら計画をたてることはきわめて重要です。しかし日本においてはまだまだ支援者や家族が主導して計画をたてることが少なくないようです。

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移行プロセスに備えるためのポイント

1. 出来る限り情報収集をしましょう

  • 地域の教育局に、移行についての情報をまとめたものやウェブサイトがないかどうかを確認しましょう。
  • 卒業後の選択肢について、現在考えられることを明確にしましょう。卒業後の選択肢とは、たとえばさらに学業を積む、就職する、訓練を受けるといったことや、自宅で何をするか、どうやって1日を過ごすか、といったことを指します。
  • あなたの息子や娘の興味をそそるような活動を見つけてみましょう。支援のための給付金については、既存のサービスだけに使うのではなく、もっと柔軟に、新たな機会を楽しむために使用することもできます。

2. あなたの息子や娘が将来に何を望むかを考えられるよう、サポートしましょう

  • あなたの息子や娘にとって何が大切かを考えましょう。
  • あなたの息子や娘が将来何をしたいか、考えられるように促してみましょう。もしその将来の夢が非現実的であったとしても、彼ら自身のヴィジョンが大切なのです。その夢の中には、きちんとサポートすれば実現可能なものがたくさんあるかもしれません。
  • 彼らを管理しようとするのではなく、サポートしましょう。
  • あなたの息子や娘についてよく知る兄弟や友人に、息子や娘がどのような興味・展望を抱いているかを尋ねてみましょう。
  • あなたの息子や娘の人生にとって大切な人物を含めた支援の輪を利用しましょう。支援の輪は、場合によって「友達の輪」とも言われるものですが、あなたの息子や娘のことを良く知っている人たちのことで、あなたの息子や娘と定期的に会うことができ、将来の生活について計画を立てたり、夢を実現する際の手助けをしてくれる人を指します。

3. 会議に備えて準備をしましょう

  • あなたにとって必要な情報が他にないかを考えておきましょう。質問したい事柄はリストにしてまとめておきましょう。
  • あなたの息子や娘が必要とするかもしれない支援が他にないかを考えておきましょう。
  • 会議の前に、これまでの記録を見ることができるかどうか尋ねましょう。
  • 友人や支援してくれる人など、誰かを連れていきましょう。
  • 誰か専門知識を有していて味方になってくれる人に会議に同席してもらうようにしましょう。たとえば、あなたの手助けをしてくれる仲間がいるなら、きちんとした支援 のために闘ってあなたを助けてくれるかもしれません。

4.会議と会議の間の計画

移行 会議の間は計画を立てることに焦点を当てていますが、これが継続するプロセスの一部に過ぎないことは心に留めておいて下さい。会議と会議の間の期間も、あなたの息子や娘と共に将来の夢や希望について考えることを続けましょう。また、将来受けることになるかもしれないサービスや活動を実際に訪れて触れてみることも、あなたの息子や娘が将来について考える材料になるかもしれません。学校によっては、本人中心の 計画を授業に取り入れ、若者が早い段階から将来の選択肢を探る機会を持てるようにしています。

   このように情報を集めたり必要なサービスを考えたりといったコーディネーターの役割を、家族(親)はいつまで担うべきなのでしょうか。障害のない人がそうであるように、障害のある人の場合も、大人になったら親ではなく本人が支援を受けながらさまざまな物事を選び決定できるようになることが目指される必要があります。それゆえ、移行の時期は、障害のある本人が一人の大人として社会の中で生活していくスタート地点であり、親が親としての大事な役目を果たす時期だといえます。

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大人としてのサービスへの移行

あなたの息子や娘が大人になるに従って、社会的ケアへの責任の及ぶ範囲が、子ども向けのサービスから、大人向けの健康面のサービスや社会的サービスへと変化します。地域によってはチーム間での受け渡し期間がありますが、これは若者が18歳で法的に成人になったときに起こります。この間ソーシャルワーカーがあなたと協働で作業します。

   日本においても18歳になると利用できるサービスが変わってきます。障害者総合支援法の福祉サービスを利用する場合は、障害支援区分の認定を受け、「サービス等利用計画」をたてることになります。この計画の作成にあたっては、「計画相談支援」という事業を行っている事業所がサポートします。

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将来に向けて計画する(教育、就職、日中活動)

あなたの息子や娘が学校を出たら、あなたの住む場所やあなたの地域でどのようなサービスが利用可能かにもよりますが、彼らには様々な選択が可能になります。
 現状では、知的障害のある若者にとっての選択肢は、多数存在するとは言えません。ですが、移行の計画として望ましいのは、若者が生きたいと思う大人としての人生を達成するために正しいサポートを受けるにあたって、若者にとって何が必要なのかを話し合うことです。もしそのようなサービスが現実にはなかったとしても、話し合うことが大切なのです。

教育の継続

 あなたの息子や娘は16歳~19歳の間に、たとえば地域の大学などで教育を継続して受けることを考えるかもしれません。アカデミックなコースを受講したいと思う人もいるでしょうし、あるいはもっと仕事に直結した勉強がしたいと思うかもしれません。
 あなたは親として、息子や娘にとって、知的障害のある若者向けの専門コースを受講するのが良いのか、あるいは支援付きで主流のコースを受講するのが良いのかを考える必要があります。どのようなコースを受講できるか、どのような支援を提供しているのかを地域の大学に問い合わせてみて下さい。多くの学校では地域の大学と提携していますから、学校にいるうちに大学での生活を経験することができる生徒もいるかもしれません。

   日本においては、特別支援学校のうちごくわずかですが、継続教育として専攻科を設けているところがあります。近年は、福祉型専攻科といって、社会生活に必要なさまざまな力を伸ばすことを目的とした、障害者総合支援法の自立訓練事業を活用した継続教育の場が少しずつですが増えてきています。

訓練と仕事

 あなたの息子や娘が就労しようと考えている場合、就労経験やボランティアプログラムへの参加を学校に手助けしてほしいと思うことでしょう。こうした経験は、自分にとってどのような仕事が向いているのか、何を楽しいと思うか、何を困難に感じるか、職場でどのような支援 が必要になるかといったことについて考える良いきっかけになるでしょう。
 訓練の体制については、様々なものがあります。たとえば仕事に特化した訓練や、見習い制度、そしてボランティアの体制が考えられます。あなたの息子や娘にとって有償の労働が難しい場合でも、こうした経験は有益な経験になるでしょうし、スキルも身につくでしょう。

障害者就業・生活支援センターは、障害者からの相談に応じて情報提供や助言を行う機関です。その他にも雇用に関わる機関としては、公共職業安定所、障害者職業センターなどがあります。

日中をどのように過ごすか

 最近では、知的障害 のある大人のための日中の過ごし方の選択肢は、多くの地域で大幅に変わりました。サービスは、より一層コミュニティに根付いたものになってきています。またこうしたサービスは、息子や娘の活動が、興味のある分野や、楽しい・有益だと思う分野に基づいて決定されるように、あなたと息子や娘が立てた個人の計画に、より焦点を当てたものになってきているはずです。そうした計画の中には、余暇活動、ボランティア活動などが含まれるでしょう。重度で複数の学習障害(PMLD)を抱えている若者の場合、センサリールームやアロマセラピーのマッサージ、ハイドロセラピーのためプールに行くといった特殊な活動が、多くのデイサービスで提供されています。

英国のようにコミュニティに根付いたさまざまな活動の選択肢が十分にあるとは言えませんが、「個別支援計画」をたてる際には、公的(フォーマル)なサービスの利用だけでなく、インフォーマルな資源の利用も検討する必要があります。
情報の収集にあたっては、相談支援事業所の相談員に尋ねてみても良いでしょう。障害のある人が参加できるさまざまな活動の情報が得られるはずです。

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給付、資金、手当

 移行期間中は、息子や娘の将来の計画を達成するために必要となる経済的支援のさまざまな形態についてよく考えておく必要があります。

日本では、一定の条件を満たせば、20歳より障害基礎年金を受給することができます。20歳の誕生日を過ぎてから申請ができます。また、重度の障害があり在宅で生活する場合は、一定の条件を満たせば、特別障害者手当を受給することができます。

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住居について

 移行期間は、あなたと息子や娘にとって、将来の住居について考え始める良い機会となります。若者の中には家族と一緒の家に残りたいと考えている人もいますが、家を出たいと考えている人もいるでしょう。
 どのような方法を取り得るか、どのような支援 や身体機能回復のためのケアが息子や娘にとって必要になるかについて、できる限り早く情報を集めるのが賢明です。まずはソーシャルワーカーやケアマネージャーに、その地域では何が利用できるかを尋ねてみて下さい。

   日本においては、「親亡き後」という言葉に象徴されるように、長らく障害のある人は大人になっても年老いても親元で暮らすのが当たり前という時代が続いてきました。障害のない人がそうであるように、学校を卒業したら、大人になったら、「親元から自立する」という可能性を検討してみるのにも、「移行」の時期は良い機会です。
ケアホーム・グループホームなど障害のある人が生活できる場はまだ少ないのが現状ですが、こうしたケアホーム・グループホームの体験利用や、宿泊型の自立訓練事業なども少しずつできているので、自宅以外での生活をまずは体験してみることも検討してはいかがでしょう。

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移動と余暇

 あなたの息子や娘が将来どうありたいと思っているかにかかわらず、交通費がいくらかかるようになるか、どうやって支払われるかを考えることはとても重要です。社会的サービス からは、たとえば大学やデイセンターへの交通費など移動にかかるお金の一部が支払われます。また、移動にかかる費用をタクシーカードやダイヤルアライドの給付金の形で受け取ることもできますし、ダイレクトペイメント やパーソナルバジェットの一部を使用することもできます。
 もう一つ重要なことは、あなたの息子や娘が、自身の余暇について考えることです。家以外での余暇を楽しみたいけれど、そのためには追加で支援が必要な場合、ここでもダイレクトペイメントやパーソナルバジェット の一部をサポートにかかる費用として使用することができます。

  日本では、住んでいる市町村によって、バスや電車、タクシー利用の補助制度はさまざまです。
余暇については、親の会などのセルフヘルプグループが主催する活動や、地域活動支援センターの利用、あるいはガイドヘルパーとともに地域の一般のサークル活動に参加するなど、さまざまな方法があります。

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友人と関係性

 知的障害のない若者は、友人関係を築きたいと思っているでしょうし、場合によってはこの時期性的な関係を築くことについても考えているかもしれません。親としては、こういったことを考えるのは難しく、時に当惑してしまうかもしれません。息子や娘に知的障害 がある場合には、彼らが人間関係における感情的、身体的な側面についてうまくやっていけるのか、親として心配になるのは当然のことです。大人の複雑な関係性についてよく知り、きちんと対処できると思えるように、さらなるサポートや情報が必要だとお考えかもしれません。

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アドボカシーサービス

 あなたの息子や娘に合った移行支援 を求める際、アドボカシーサービスが有益となるでしょう。アドボカシーサービスは、あなたを家族の一員として一緒に取り組んでくれ、息子や娘とはさらに親密に関わってくれます。若者にとっては時折、親であるあなたとは離れたところから発言することが重要なこともあるからです。

   日本では近年、特に知的障害の分野において「意思決定支援」という言葉が使われるようになってきました。福祉サービスの利用、どこに住むのか、何をして過ごすのか等々の意思を決定するプロセスを支援することで、その人の権利が守られ、より自分らしく生きることへとつながっていきます。